生成AIの導入支援を行う株式会社TENHO(テンホウ)は、CS対応を自動化するサービス「C-Clone(シークローン)」を6月にローンチした。このサービスについて、同社のCTO児玉知也氏とCEO新堀光樹氏にインタビューを行い、新しい取り組みやビジョンについて探った。児玉氏は特に技術面での挑戦について、新堀氏は事業戦略に焦点を当てて語った。
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TENHO 代表取締役 新堀光樹氏
生成AIにおけるTENHOの戦略をお聞かせください。
新堀:
TENHOでは、生成AIを活用した業務効率化を促進するために、様々なサービスやツールを提供しています。従来の「業務効率化には時間とお金がかかる」という概念を一新し、生成AIを活用して簡単に業務を自動化できるようにしました。
デジタル戦略の一環としても、TENHOは常に既存の概念に挑戦する新しいアプローチを試みています。具体的には、今年の6月に開始した「C-Clone(シークローン)」では、CS対応業務に関する採用、研修、マネジメントを全て自動化できるようにしました。これにより、人手が必要なCS対応が大幅に業務効率化し、どのような時間帯でも品質が安定した顧客対応が可能となります。
このサービス開発の背後には、「CS対応の品質を向上させ企業の売上に貢献する」という目的がありました。従来、多くの企業が顧客サービスよりも営業活動に比重をおいていましたが、この新しいシステムを通じて、顧客サービスを自動的に効率よく提供できるようにしました。TENHOは過去のCS対応支援事業で培った経験から「C-Clone」の開発を成功させました。
児玉:
本ツールを導入しているクライアントで取ったアンケートによると、「使い方がわからない」「使用することに抵抗がある」と感じている方が多いことがわかりました。そのような内部情報を当社と共有していただいたおかげで、問題解決に向けた提案を行いやすくなりました。
新堀:
単に生成AIの業務効率化ツールを導入するだけでなく、現場での使用率を向上させていく必要があると気づけたことはとてもありがたかったです。
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TENHOでは、ツールの開発だけでなく、定着までサポートしているのですか。
新堀:
もちろん、どれだけ素晴らしいツールを導入しても、実際に現場で活用されなければその価値はありません。実際、私たちのサービスも初めは使用率がわずか20%に過ぎませんでした。そこで重要なのが、ただ便利さを押し付けるのではなく、クライアントの現場の声に耳を傾けることです。
具体的な施策としては、毎月ミーティングを設け、現場に直接行ってセミナーを開催したり、マニュアルを提供したりしました。また、このツールを使って成功を収めたケースを積極的に共有することで、実際の利便性を体感してもらいました。
その結果、導入からわずか3ヶ月で使用率が20%から50%へと大幅に上昇しました。
児玉:
機能面においても毎月のミーティングで現場から得たフィードバックを基に、継続的に細かいアップデートを施しています。そうすることで、ツールが現場で実際に役立つ形に進化していきます。
要するに、私たちはとにかく現場に寄り添うことが最も重要だと考えています。上からの指示だけでなく、現場の声にしっかりと耳を傾けることで、サービスが持続的に改善され、使用率も高まる。このアプローチが私たちの成功の鍵であると確信しています。
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「C-Clone」サービス概要
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「便利そう」ではなくデータで業務改善率を判断
C-Clone(シークローン)のサービス提供で意識していることは。
児玉:
「本質的な改善に繋がっているか」これを常に意識しています。
便利な機能を導入したとしても、それが本質的な業務改善に繋がっていなければ意味がありません。私たちはその点を常に意識しています。たとえば、CS(カスタマーサービス)対応を自動化する場合、単に作業が効率化された感があっても意味がありません。実際にどれだけコスト削減に貢献しているのか、またツールの使用率にどういった変化があるのか—これらの指標をしっかりとデータで管理して、業務改善が実際に行われているのかを確認しています。
このようにデータを基にしたアプローチを取ることで、ツールが現場でどう働いているのかを詳細に把握し、それに基づいてさらなる改善を行っています。
新堀:
まさにその通りで、TENHOでは全ての結果についてデータで詳細に判断し、その分析結果を毎月クライアントに報告しています。私たちは「便利そう」や「すごそう」といった抽象的な評価よりも、「どのような数値的な変化が見られたのか」という具体的な指標を提供することに重点を置いています。
このような数値ベースでの透明な報告体制が、実際にクライアントから高く評価されています。そのおかげで、パートナーシップがより深化し、長期的な関係値構築につながっていると感じています。
今後の展望をお聞かせください。
新堀:
現在の主力製品であるC-Cloneをさらに進化させる一方で、新たな事業領域への拡大も図っています。特に、いくつかの領域にターゲットを絞り、その業界内の固有のニーズに応える形でサービスを展開していきます。
児玉:
他には、ユーザーの個別対応を強化します。まずは、既存のデータを解析して個々のユーザーニーズをより深く理解すること、そしてそのデータに基づいてAIをトレーニングしていくステップで進めていく予定です。
■株式会社TENHOについて
TENHO(テンホウ)は「AIと人間が共存する世界を創る」というミッションのもと、「AIエンジニア研修事業」「ChatGPTやAIと連動した開発事業」を展開しています。基準を日本に置かず、世界のAI情勢を取り入れた価値提供を行います。
会社名:株式会社TENHO
代表取締役:新堀光樹
所在地:〒150-0011 東京都渋谷区東2-14-21
事業内容:
(1)SES・人材派遣向けエンジニア育成事業「ソダテル」
(2)ChatGPT等生成AIに関する講演・顧問事業
(3)ChatGPTを組み込んだChatbot事業「C-Clone(シークローン)」
(4)AI搭載の社内wikiツール「TeamAnswer(チームアンサー)」
会社HP:https://tenho7.jp